数物系
物質(物理)系
工学研究科
2019年

8. 原子1層材料であるグラフェンの特異な物性

受講場所
対面
担当研究科
工学研究科
担当者
小林 慶裕、根岸 良太
最大受講人数
1人
【概要】

2010年ノーベル物理学賞の対象となったグラフェンは炭素原子が蜂の巣状に結合した原子1層の厚みしかないシート状の2次元材料です。日常的に接する3次元の炭素材料であるグラファイトとは全く異なった性質をもっています。電気特性(パソコンの半導体よりも高性能)や機械強度(鉄よりも壊れにくく、柔軟)に優れるだけでなく、電子の質量がなくなったり、壁をすり抜けたりする奇妙な振る舞いをします。本課題ではこのグラフェンを自分の手で作製し、その特異な物性を探索します。具体的な内容は受講生の興味に応じて設定しますが、いくつかの例を以下に示します。
例1:2次元材料であるグラフェンシートを積み重ねてみよう
複数のグラフェンシートを重ねると、シートはお互いにファンデルワールス力で弱く結合します。さらに、高温で処理したり、圧力をかけると、層間の結合が強くなり、3次元材料のグラファイトに変化します。本課題では、グラフェンの積み重なり方によって薄膜の光学的・電気的な特性がどのように変化するかを調べ、2次元物質と3次元物質の違いについて考えます。
例2:グラフェンは磁石になって浮遊するか?
3次元物質であるグラファイトは反磁性を持ち、強い磁場中では空中に浮上する現象が知られています。それを極限的に薄くした2次元物質であるグラフェンではどうなるのでしょうか?本課題では、単層~数層重ねたグラフェンシートを作製し、磁気浮上効果について調べます。
例3:グラフェンスポンジセンサー
グラフェンを加工してスポンジのような多孔質の材料にすることができます。その表面積の広さや柔軟性を利用したデバイスを作製し、触覚やにおいなど、様々なセンサー応用の可能性を探ります。

【備考】

受講生と担当教員(2名)とで相談の上、テーマ設定を行います。
物質(物理)系の体感科学研究を受講した者はもちろん、未受講者でも物質やナノ材料に強い興味あれば
大丈夫です。
上記の課題は例です。興味に応じてアレンジします。
ナノカーボン材料に関する具体的な研究提案も大いに歓迎します。