生命系
生命機能研究科
2017年
55. 爬虫類における左右軸決定機構
受講場所
対面
担当研究科
生命機能研究科
担当者
濱田博司、梶川絵理子
最大受講人数
1人
【概要】
生物の体は一見すると左右対称であるが、心臓が左側にあったり、肝臓が右側にあったりと左右に非対称性が見られる。左右の非対称性は器官形成が開始するより前の胚発生の初期に決定される。これまで、脊椎動物では、マウス、ニワトリ、アフリカツメガエル、ゼブラフィッシュ等において左右軸の決定機構が研究されており、様々な共通点と相違点が挙げられている。共通点として、Nodal遺伝子が左右軸決定の時期に一過的に側板中胚葉の左側のみで発現することが知られている。しかし、Nodalの左右非対称な発現を引き起こすメカニズムは種によって異なっている。マウスをはじめほとんどの脊椎動物では、ノードと呼ばれる特殊な領域における、繊毛の回転によって引き起こされる左向きの水流が左右軸形成に重要であることが知られている。しかし一方で、ニワトリではノードにおける水流は確認されていない。
爬虫類は系統的に鳥類、哺乳類と近く、鳥類と哺乳類における左右軸決定機構の相違点がどのようにして生じたかを理解するために非常に重要な役割を果たすにもかかわらず、爬虫類における報告はまだない。爬虫類はマウス、ニワトリ等に比べて研究が難しいことから、生物学的に重要な生物群にも関わらず研究件数が少ないため、研究の意義は大きい。そこで、ソメワケササクレヤモリ(Paroedura picta)、ニホンスッポン(Pelodiscus sinensis)を実験対象の爬虫類とし、マウス、ニワトリ等における先行研究を参考に、爬虫類の左右軸決定機構を解明する。
【備考】
このテーマは受講生提案です。